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動くブロックでプログラミング学習!アーテックロボとアーテックエジソンアカデミーのインタビュー

動くブロックプログラミング学習!アーテックロボとアーテックエジソンアカデミーの取材

アーテックロボは、ブロックの組み立てとプログラミングによりロボットをつくることができる、子ども向けのプログラミングロボットキットです。全国の学校でもプログラミング学習として採用されています。そして、アーテックエジソンアカデミーは、小学校高学年向けのロボットプログラミング教室です。どちらも、学校教材・教育玩具の製造・販売を行うメーカーである株式会社アーテックが手掛けられています。

今回は、アーテックロボとアーテックエジソンアカデミーの両方について、株式会社アーテックの濱田様にお話を伺っていきたいと思います。

アーテックロボができた経緯

―現在のアーテックロボができるまでの経緯について教えてください。

最初は、2012 年に中学校の技術科の授業でプログラムによる計測・制御学習が完全実施になったことを受けて、我々もいくつか教材を用意することになったのがきっかけで、プログラミング教育に関わるようになりました。

その後、アーテックブロックというブロックを開発しました。初めはこれをロボットにするつもりはなかったんですが、色んな方面から情報収集をする中で、ロボットを製作する際には、様々な部品を用意した上で部品を加工する必要があり、このことがロボットを用いた学習をする上での障壁になっているということが分かりました。

それなら、このアーテックブロックを使えば、子どもたちが自由自在にブロックを組み合わせて作り上げたものを、プログラミングで制御することができるのではないかということにから開発に至り、現在のアーテックロボが生まれました。

ですので、最初からこの着想があったというよりは、色んな方のお話を聞いている中で、アーテックロボを作ることになったということになります。

―アーテックさんは、アーテックロボに用いるための基板の開発も自社で行われているとお聞きしました。

ええ。いま、電子工作の世界では Arduino という基板が広く使われているのですが、これはオープンソースとして、Arduinoが提供するほぼ全ての回路図やプログラムのソースコードが無償で公開されています。そこで、我々もそれを取り入れて、拡張可能なアルディーノ互換基板であるStuduino(スタディーノ)というものを開発しました。

基本的にはArduino UNOと同じ機能を持っていますが、ロボットを使いやすくするために、コネクターを変えたり色んなパーツを追加したりして、すぐにでもロボットを動かせるような形に仕上げたものになります。

ハードの面はそれで片がついて、今度はソフトウェアの部分をどうするかが課題となったんですが、考えていくうちに、やはり子どもたちに自らテキスト言語(コーディング)を入力してもらうのはあまり想像できなかったので、子どもたちの学習に特化したソフトウェアが必要だということになりました。

最初は自社で一から開発しようとしていたんですが、ちょうどその折にマサチューセッツ工科大学で開発されていたスクラッチ(教育用のプログラミングソフト)に出会いました。ブロック型でプログラムが組み上がっていくという点が私たちの求めているものと一致していましたので、スクラッチをカスタマイズして、当社のアーテックロボを動かせるようなコマンドを追加していきました。それで最終的にできあがったのが、現在のアーテックロボのソフトウェアになります。

アーテックロボの特長

自由自在に組み立てられる

―アーテックブロックは、縦・横・斜めの方向から自由自在に組み立てられるんですね。

そうですね。世界中の様々なブロックを観察してみたところ、一番のデメリットは、ブロック同士をつなげる方向が限られていて、一度ブロックを組み立ててしまったら後から拡張するのが難しい所だ、ということに気づきました。

そこで、縦・横・斜めのどの方向からも組み合わせることができるように設計しました。ただ、それだけなら6面に穴を空けてつないでいくような構造でもよかったんですけど、こういう風に、穴に挿す突起を中心からずらしたことによって、2つのブロックを組み合わせたときにそれぞれの突起が隠れるようにしました。

そのため、ブロック同士を組み合わせて立体を作るパズルのピースとして、算数の学習などにも使えるようになっています。

ブロック同士を組み合わせて色々な立体が作れる

13種類のパーツのみ

―他に何か、アーテックブロックならではの特徴はありますか?

ブロックを組み合わせて作るタイプのロボットにありがちな欠点として、パーツの種類がとにかく多く、1つでもパーツをなくしたら、もう作品が完成しなくなってしまう、という点があります。ですが弊社のブロックは、センサーやモーターなどを除けばパーツが全部で13種類しかないんです。

―では、もしパーツをなくしても、そのパーツだけを新たに購入すれば大丈夫なんですね。

そうなんです。それに、ロボットを用いた学習をする場合、ロボットを組み立てるだけで一回の授業が終わっちゃったということになると、非常にもったいないんですよ。我々としては、ロボットづくりだけでなく、プログラミング学習も重視したいと思っています。

ですので、ロボットの組み立ての時間はできるだけ短くして、その後プログラミングを動かしてトライ&エラーを繰り返す部分に時間をかけてもらえるよう、ブロックの種類は最小限にしました。最初は他にも色んなブロックの種類があったんですけど、要らないと思ったものをどんどん削っていって、最終的に今の13種類に落ち着きました。

そのため、ロボット製作に取り掛かる際のハードルは低くなっていますが、それと同時に自由度が高いパーツになっているので、これらを組み合わせて複雑なロボットを製作することも可能です。入り口は広いけれども、奥が深いという所がアーテックロボの特長ですね。

インターネット経由でロボットを動かすことも!

―今後、新たな機能を追加で導入する予定などはありますか?

ええ。今はこのロボットはネットに繋がっていませんが、現在開発している新しいバージョンでは、Pythonを使うとインターネット経由でロボットを動かすことができるようになります。また、ロボット同士で通信を取り合って動く、ということも可能になります。

アーテックエジソンアカデミーについて

子ども向けのロボットプログラミング教室・アーテックエジソンアカデミーについてもお伺いしたいのですが、この教室を立ち上げられたのは、アーテックロボの開発と何か関係しているのでしょうか。

アーテックロボが完成して、これを使って子どもたちに授業をしようということになった時に、先生方がこの教材をどう扱ったらいいのかわからないという声があったんですね。

ロボットキットだけじゃなくてカリキュラムもきちんと設計しないと現場に浸透しないよね、という話になったので、エジソンアカデミーを立ち上げることになりました。

3年少し前に始めたのですが、おかげさまで現時点で教室数は900以上まで拡大しました。世の中の関心の高さというものが顕著に表れているんだなと感じましたね。

今後の展開

今後はどのように事業を展開されていくご予定ですか。

民間の方については、いま力を入れているのは低年齢向けのコンテンツです。エジソンアカデミーは主に小学校高学年に向けた教室なのですが、親御さんの声を聞いていると、やはり子どもがもっと小さいうちから教育を始めたいという要望が多く上がっています。ですので、小学校低学年や幼児の方も対象に、事業を広げていっているところです。

それから、民間・公教育の両方に関わる話ですが、小・中学生のための国際ロボット競技会というイベントを主催しています。2019年夏の第3回大会では、台湾・香港・ヨーロッパなど、海外の方からも参加をしていただくことになっていて、世界大会という形で開催しております。ロボット学習をする子どもたちにとっての1つの目標として、学習を続けるためのモチベーションの向上につながればと思っています。

また、来年度から小学校でプログラミング教育が必修化されることに関して、学校の先生方のお話を聞いていると、やっぱり不安を感じておられる先生方が非常に多いんですね。我々はプログラミングの教育なんて受けていないし、どう教えていったらいいのかわからない、という声が非常に多くなっているので、我々も全力でサポートしていきたいなと思っています。研修会などを地道に開いて、少しずつ準備を進めていっているところです。

株式会社アーテック
https://www.artec-kk.co.jp/