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【Railsチュートリアル開発経緯とこれからの展望】YassLab株式会社の安川要平さんにインタビュー

【Railsチュートリアル開発経緯とこれからの展望】YassLab株式会社の安川要平さんに取材

YassLab株式会社はRuby on Railsを学習できるRailsチュートリアルやRailsガイドなどを作成しています。RailsチュートリアルとはWebアプリケーションの開発・公開を、実際に手を動かしながら学んでいけるカリキュラムで、オンラインのテキスト版は無料で公開されています。

また、YassLab株式会社の代表取締役・安川要平さんはRailsチュートリアル事業だけでなく、未踏ジュニアCoderDojo Japanの立ち上げにも関わっています。

今回は安川要平さんに、Railsチュートリアルの開発経緯や今後の展望について、またCoderDojoをはじめとした活動についてもお話を伺いました!

Railsチュートリアルの開発について

―まずRailsチュートリアルを作成した経緯を教えていただいてもいいでしょうか。

まずRailsチュートリアルには、Michael Hartlという原案者がいて、それを日本語にしたのがこのサービスの元となっています。でも、コンテンツは原作と相互対応なのですが、法人プランや動画など様々なサービスをつけたのが今のRailsチュートリアルなのでただの日本語版、というわけではありません。

日本でもいろんな大学でやっていますが、僕はPBL(Problem Based Learning)のような、作りながら自発的に発見し、学ぶカタチを推しています。CoderDojoにも楽しく作りながら学ぶというスタイルが多いですし、MITが開発したScratchにもそういった学び (構築主義) を大切にしていると伺っています。ただしこの学び方は、従来のカリキュラムに沿った予定調和的な学びとは異なるスタイルなので、うまく進めていくには少しコツがあります。例えばトピックが発散するのを許容したり、答えを事前に知っていることよりも答えを一緒に考えて、相手が自発的に学ぶ機会を尊重するとか。

そういった違いはあれど、それでも作りながら学んで行く方が身になるよね、という考えが背景にあるので、PBLやCoderDojoのような学ぶスタイルには営利・非営利の両方で関わらせていただいています。

一方、作りながら学ぶと一言で言っても、例えばプログラミング経験の全く無い人に「プロダクトを作ってみよう!」と言っても、壁が高すぎて辛くなってしまいがちなんですよね。テクノロジーの幅が広がっているだけで、一歩ずつ押さえていけば必ず理解できるのですが、SNSが作れない、ユーザー登録がわからない、何もかもが分からないから楽しく無い…みたいな。

だから、作りながら学ぶにしても、基礎のところは算数ドリルのように学んでいって、その後に個人開発をして新しいことに挑戦して、理解が十分でない部分はさらに書籍を読んで…というように行ったり来たりを繰り返しながら学ぶのがいいかなと考えています。

そうやって行ったり来たりしながら学ぶスタイルを考えた時に、信頼できるチュートリアル形式の教材がたくさんあれば良いなと思って、Railsチュートリアルを開発したり、Progateさんと提携したり、講義や研修で使いやすいように法人プランを提供したりしています。

Railsチュートリアルをどう使って欲しいか

―Railsチュートリアルの立ち位置や使い方として、Progateなどをやった人たちがさらに深掘りをする、という形でいいのでしょうか。

そうですね。Progateさんと提携したときのプレスリリースにも記載していますが、プログラミング初心者の方にはProgateさんをオススメしています。Railsチュートリアルはプログラミング初心者向けというより、Progateなどでプログラミングを学んだ方が、プロダクト開発を始めるときに使う教材という位置付けになっています。

例えばRailsチュートリアルは筑波大学や琉球大学などでも使われていますが、基本的にはenPiTのような プロダクト開発を通して学ぶカリキュラム・社員研修の一環として使う事例が多い です。

工学院大学のシラバスAIITのシラバスの実例も公開されているので、Railsチュートリアルを講義や研修に組み込むときの参考にしてもらえればなと思います。さらに詳しい実例は RubyWorld Conference 2018 で発表した法人プランを使った反転学習の資料があります。自分でもすごい結果が出たなぁと思っているので、よければぜひ読んで欲しいです。

―どういう風にRailsチュートリアルを活用してもらいたい、ということはありますか?

どう使っていただきたいかというと、やはりプロダクト開発に向けた準備としてRailsチュートリアルを使って欲しいですね。ProgateやRailsチュートリアルでプロダクト開発の型を学んだら、次はぜひ実践にチャレンジして欲しいです。もともと「作りながら学ぶ」スタイルに繋げるためのものだったので、検索しても答えがないようなステージこそ本番かなと考えています。そこでは自発的な発見や学びも大いにあるでしょうし、何より誰も答えを知らない世界を自分で開拓していく楽しさがあります。

これはやはり僕が最初にチュートリアルが必要だと思った理由、チュートリアルの形でもあるんですね。チュートリアルというのは手段で、あくまでも本質はプロダクトを作ることだと思います。

中でもRuby on Railsは「一人でもプロダクトを作り始められる」という強みがあるので、その点でRailsチュートリアルは受動的な学びと自発的な学びの接点になりやすいかなとも考えています。

もちろん最初は「何を作るか?」で悩んでしまう人もいると思うので、「ひとまず拡張機能を作ってみるのはどうですか?」といったセクションも用意しています。ちなみに知らない人も結構いると思いますが、こういう細かな部分のサポートがあるのはRailsチュートリアルだけで、原著の Rails Tutorial にはまだ無いんですよね。そういった意味でも「Rails Tutorial の日本語版」という表現は正確ではないんですよね。

Railsチュートリアルの目指すところ

―Railsチュートリアルの今後の方向性について教えていただけますでしょうか。

今動画のビジネスがあるんですが、それのお試しプランというのが好評いただいているんですよね。動画を買う時に、サンプルを見るか動画をそのまま買うかという選択肢がありますが、それは結局1か0かで買うときは勇気を持って決済しないといけないんです。

でも、やはりしっかりコンテンツを見て判断していただきたいなと思って、30分全ての動画を見ることができるお試しプランというのを出したんです。これがすごく好評なので、このお試しプランを拡張するような新しいサービスを出していきたいと思っています。

現在、動画全部ではなくて1本とか決まったものだけ見たいという方向けには、金額が約2万円・5万円・10万円のプランしかないので、量やサービスをもっと分割してユーザーさんに合わせていきたいですね。

あとは去年の11月にリリースした法人プランがいろんなところで使っていただいていて、順々に広がっているのですが、法人プランをもう少し充実させようと思っています。

また、法人プランを検討されている方々で、法人プランの使い方がわからない・どう使うのか知りたいという声があるので、他企業の利用事例などを公開させていただき、どう使うかの参考にしていただくというようなこともしています。

CoderDojoや未踏ジュニアなどの活動について

―安川さん自身、CoderDojo、Railsチュートリアル、未踏ジュニアなど様々な教育の分野に携わっておられますが、何を目指して活動されておられるのでしょうか?

常に新しいことに関わっていたいですね。何かを目指すことには実はあまり興味なくて、今より良い状態にし続けていくことに興味があります。そういった状態を維持し続けると、未来に希望が持てるようになるんですよね。例えばCoderDojoが無い世界から有る世界に変わって子ども達はより幅広い選択肢を持てるようになったとか、ProgateもRailsチュートリアルも無かった世界に比べてプロダクト開発のハードルが下がったとか。

そういった現象が続いていくと、「今よりも明日はきっと良くなるはずだ」という気持ちになっていくじゃないですか。そのためにも、これからもたくさん失敗すると思いますが、僕自身も新しいことをやり続けていきますし、新しいことにチャレンジする人も応援したいと考えています。

その点で言うと、国家レベルでそういった動きを推進している未踏事業や、若い人にもチャレンジする機会を提供する未踏ジュニアは僕のやりたいこととも合致しています。良くも悪くも人間は周りに流される性質があると思うので、新しいことにチャレンジする人たちが増え続けていくと、いずれはそれが「普通」になるかもしれません。僕が生きている間には実現しないかもしれませんが、それが「普通」になった社会はちょっと見てみたいですね。

先人達の恩恵で今の時代を楽しく過ごせているので、僕も僕ができることを1つずつ積み重ねていって、それが次の時代を生きる人たちのちょっとしたプラスになれば嬉しいなと考えています。

YassLab株式会社
https://yasslab.jp/ja/

Ruby on Rails チュートリアル
https://railstutorial.jp/

Railsガイド
https://railsguides.jp/

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